ひじきアメリカへ行く

アメリカの田舎で研究をするブログ

ベッドレースと冬の到来

ひじきです。
すっかり更新を怠っていたら冬になってしまいました。
まだ11月だというのに...

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11月に入って気温が急に下がり、
ちらほらと雪のちらつきを見たのもつかの間、
先週末と今週にたっぷり降りました。

バーハーバーの町からもすっかり人がいなくなってしまいました。
町の観光シーズン最後を飾ったのは、
バーハーバー名物、パジャマセール&ベッドレースです。
https://www.visitbarharbor.com/early-bird-pajama-sale-bed-races
町の店にパジャマで入店すると特別な割引がもらえるセール。
朝の6時から町中をパジャマ姿の人々がうろうろと。

そして極寒のなか、ベッドレースが開催されます。
4人+ベッド上1人のチームでベッドをひっぱり、町の目抜き通りを疾走。
パジャマ姿の観客たちが熱狂しました。

そんなこんなで最近は氷点下も日常と化してしまいましたが、
たのしく暮らしていこうと思います。

明日はサンクスギビング

 

新ネズミ御殿

ひじきです。
バーハーバーでもいまだに暑い夜が来たりはしますが、
すでに20℃を下回る日も来たりして、8月なのに夏の終わりを感じます。

さて、この秋にJackson Labの新しい拠点がオープンします。
Jackson Labのあるバーハーバーから40分ほどの最寄りの町Ellsworthに
分与用のマウスを飼育する新しい施設ができます。

 

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google mapより

米国内をはじめ、世界中にマウスを送り出す施設なので、
比較的交通の便が良い立地に移した方が良いのでしょう。
そんな新しい施設の、従業員向け完成お披露目会が先日開かれました。
内部の写真撮影はNGでしたが、最新のマウス飼育事情を見ることができました。

建物内には縦横無尽にコンベアーが流れていて、
マウスの飼育ケージ(使用前、使用後)、飼育用の餌と水、
さらには発送用のマウスを入れたケージも運ばれていきます。
すべてにバーコードが貼ってあるおかげで、さながら流通センターのように
自動で行き先を判別して振り分けていました。

特に発送用のケージはできるだけクリーンなまま発送すべく、
人の手をできるだけ経ないで自動的に処理される仕組みだそうです。

飼育室では壁際にずらりとケージ交換用のキャビネットが並んでいて、
細胞培養のごとく、陽圧で菌のコンタミを防いでいました。
キャビネット内に取り付けられたタブレットから物品を発注することで、
交換用ケージやら水やらが自動で作業場に送り込まれてきます。
もちろん使用後のケージもタブレットから指令を出して、自動で回収。
新しいケージとは別のコンベアーで洗浄室に送られていきます。

あとは浄化水槽やら自動給水機、洗浄機、などなど。
動物飼育というよりはむしろ、
ロジスティックスの技術が活かされている印象です。

新しい施設でのマウス飼育はこの秋から、
最初の発送はクリスマス頃ではないかとの話でした。

気温の話

ひじきです。
日本のニュースをできるだけ見るようにしているのですが、
今年の日本は恐ろしいほどの猛暑ですね。

ここBar Harborでも7月前半は例年にない(らしい)暑さの日があったりしました。
...とはいいつつも明らかに涼しいです。 
昼間の暑さの大半は日差しによるもので、日陰に入れば涼しいし、
最高気温は20℃台前半、夜になれば15℃あたりまで下がり、布団が欲しくなります。

サンフランシスコも同じか、ここより少し寒いぐらいだそうですね。
フロリダやLAはなかなかに暑くなるようで、
アメリカという国の気候の多様性には驚きます。
緯度差でいうなら日本列島とアメリカは同じくらいのようですが。

建物の中はだいたい寒いです。
Jackson Labの中はだいたい20℃ちょっとに設定されていて、
セントラルヒーティングと同じくエアコン設定もなにも個別にはなく、
実験が安定するからこれでいいのだろうと思いつつ上着を着ます。
培地やらプレートにカビが生えないのはありがたいです。

 

「真冬でもTシャツだけで歩く外国人」のイメージから
西洋人は寒さに強いんだろうなんて勝手に想像していましたが、
周りには寒いと不平を言う人や冷え性で手がかじかむ人もちゃんといて、
特に何か人々の意見が反映された雰囲気はなさそうです。

 

バケーションランドとハイキングの話

ひじきです。

ようやくJackson Lab.周辺も暖かい日が増えてきました。
とはいえ20℃をやっと超える程度ですが。

Jackson Lab.のあるMount Desert Islandはその名の通りの島で、
橋(とはいってもアーチでもなんでもなく平坦な道)で大陸と繋がっています。
島のほとんどがアケーディア国立公園に属していて、
雄大な自然に囲まれた風光明媚な場所です。

私が到着した4月は閑散として寒々しい島だったのですが、
5月末の祝日Memorial Dayを境に状況は一変。
島中に車があふれ、人々が行き交い、繁華街の商店はにわかに営業をはじめ、
突如として観光地に変身したわけです。

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ひじき、マウス講習を受ける

Jackson Labに来て1ヶ月が経ちました。
研究はそれなりに進展しているような、していないような。

さて、ここJackson Labはマウスを使った生物学の総本山ということで、
マウスに関する教育・管理もさすがの徹底ぶりです。
マウスの実験を始めるに関して、すべての実験所作について講習があり、
それぞれの項目をパスしないと実験の許可が降りません。

薬物の注射・採血のようなデータに関わる行為だけでなく、
保定の仕方からオスメスの判別、安楽死まで、基本動作もチェック対象です。
採血は何uLを何回まで、切って良い尻尾は何mmまで、云々。
説明を受けたあと、指導担当員の前で実技試験をしてようやく許可が降ります。

マウスの飼育に関する決まりごともあって、
ケージ内に飼育してよい匹数、
できるだけ単体では飼育しないこと、
一定の日齢になったら離乳すること、などなど。
できるだけマウスに快適な暮らしをしてもらうために考えているんだとか。

毎週のようにオープンな講習会が開かれていて、
新しい項目をパスするための練習だけでなく
久しぶりにやる実験のための準備運動などにも活用できます。

日本でも3Rの原則なんかを大切にしていますが、
ここでの動物福祉と動物実験の両立への取り組みを身に付けたいところです。

Jackson Labへようこそ

Jackson Labでの仕事が始まってしばらく経ちました。
海外のラボが初めてなので、英語まみれの中で必死でなんとかやっています。


初日は7:15から午後3時までのオリエンテーション
マウス飼育担当の人やPIも、新人はみんな一緒に受けました。
試薬の安全管理やネットワークの管理などはさすがの徹底っぷりです。
毎週何かしらの新人がくるので、オリエンテーションの順序や資料もちゃんと組まれています。

海外だからなのかJackson Labだからなのかは良く分かりませんが、
マウス遺伝学がヒト社会の幸福にどう貢献しているのか、
そういう紹介ムービーやインストラクションにしっかり時間が割かれていました。
マウスの分譲事業がJackson Labの収入のかなりの部分を占めるわけですし、
雇用者のかなりの部分がそのマウス飼育に関わることもあって、
扱う対象がどういうものなのかをちゃんと教育してモチベーションに繋げているのだなぁという印象でした。

後半は主に研究所内ツアー。外から覗いたマウス飼育舎は壮観でした。
ここでひとつ問題が。
Jackson Labにはかなりの数の建物があって、研究棟は相互に繋がっているのですが、
けっこうなツギハギのせいで、まるで道順が把握できません。
しかも丘陵地にあるせいで、建物ごとに入り口の階層が違います。
ツアーしてもらって色々連れて行ってもらったはいいものの、
自力でもういちど辿り着けるとは到底思えません。
(自分でもそんなに方向音痴だとは思わないのですが…)

実際、勤務二日目は食堂に行くのに迷子になりました。

誰に聞いても「自分の建物内を覚えるだけで数ヶ月かかったよ」なんて言われるので、
これもJackson Lab名物なのかもしれません。
構内を覚える頃には一人前の職員になれているのかな?

到着

というわけでアメリカに到着です。

 

The Jackson Labのあるバーハーバーに近い空港は、
バンゴー国際空港とハンコックカウンティ・バーハーバー空港の2つ。
今回は成田からバンゴーまで、デルタ航空にて向かいました。

成田→デトロイト→ニューヨーク(JFK)→バンゴー

人生初の3本乗り継ぎです。
11時間超の1本目のあと、乗継時間が1時間強だけ。
成田空港の地上スタッフには大丈夫だろうと言われていましたが、
実際は乗継便が飛び立つ時間になってもイミグレから出られず…
あわやデトロイトで宿泊かと思いきや、
カウンターのスタッフが1時間後の便に変更してくれました。
そこから荷物を回収し、再び預け入れ、セキュリティをくぐり、
残り時間わずかの中をゲートまで猛ダッシュ
(結局は次の便が遅延していたので1時間ほど余裕があったのですが…)

 

JFKでも乗継便が遅延していて、結局バンゴーに着いたのは深夜12時過ぎ。
預入荷物は無事に届いていたので、ホテルにチェックインして倒れるようにベッドへ。

 

できるだけ荷物を持っていこうと持ち込める荷物の限界にチャレンジしたので、
国内移動だとか乗継だとかで大量の荷物に悩まされました。
要不要の選別ができるようになるにはもう少し経験が必要そうです。

ちなみに出発前の成田空港は4月初旬なのにまさかの25度超え。
汗だくで出発することになりましたが、着いたデトロイトは雪が舞っていました。
バンゴーも吹き付ける風が強くて、手のかじかむ寒さでした。
この気温差に慣れないといけませんが、風邪をひきそうで怖いです。